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IDEA・24

経営と現場の距離を縮めるAI社長プロジェクト 分シン・社長 ナカムラサン

組織対話-心理的距離-

Outline

概要

 生成AIの普及とともに、AIは"人手を減らす技術"として多く語られてきました。一方、今回私たちが向き合ったのは、別の課題です。
 組織が大きくなるほど、経営と現場の距離は開いていきます。経営からの情報は発信されている。それでも経営メッセージが現場にとって自分ごとになりにくいのは、経営と現場の距離感に課題があるのではないか。
 そんな視点から、判断を代行する用途ではなく、"話しかけられる相手"として社長をAIで再現するプロジェクトを開始しました。この取り組みの先に、経営と現場が一体となって価値創造に取り組める状態をつくることを目指します。

Challenge

組織対話-心理的距離-

 一定規模以上の組織において、社員から社長は遠いものです。会う機会が少なく、何を考えているのかは方針発表の場でしか聞けません。
 その一方で、社長から社員もまた遠く、全社員と一人ひとり話したいと思っても、時間は有限で、届く相手の数には限りがあります。
 これまでの解決策は、たいてい経営の発信を増やすという手段に留まっていました。けれど、足りていないのは本当に発信の量だけなのだろうか。
 そんな問いから本プロジェクトははじまりました。

Solution

分シン・社長 ナカムラサン

AIの力で社長を拡張した「分シン・社長」

人が言葉を受け取るとき、その言葉が響くのか、自分ごととして受けとめられるかの決め手になるのは、単に情報の量や頻度に限らず、それを言った人と自分との関係性・距離感もまた、大きな要素なのではないでしょうか。
そんな仮説のもと、私たちの組織に必要なことは”社長という存在そのものを、社員個人個人の近く、想いが伝わる距離まで拡張させること”ではないかと考え、AIを使うことで実現できないかという発想に至りました。

時間にも場所にも縛られず、誰もが話しかけ、交流できる社長。社長の分身であり、これまでにない新しい社長でもある。その2つの意味を込めて、私たちはこれを「分シン・社長」と名付けました。

「お互いの関係をつくる」ためのAI

「分シン・社長 ナカムラサン」には意思決定を代行する機能はありません。経営者を模したAIの多くは意思決定の支援を担いますが、違いはここにあります。

このAIが引き受けるのは、その手前にある「お互いの関係をつくる」部分です。
話しかけられる相手として、いつでもそこにいること。それを目的につくりました。

中村社長の思考と声を学習したAI

社内向け社長ラジオ「なんしよんラジオ」での音声収録データ、インタビュー音声、統合報告書、中期経営計画などをAIの学習データとして採用し、中村社長の思考と音声を学習させました。

マイクに話しかけると、音声認識がその内容を受け取り、学習させたデータをもとに応答を生成し、中村社長の声で返します。文章を入力する必要はなく、話し言葉のまま対話ができます。

特にこだわったのは中村社長らしい話し方を再現すること。愛媛の方言の混ざった話し言葉やイントネーション、言葉と言葉の間の取り方なども取り込むことによって随所に中村社長の特徴を感じ取れるようにしました。
声で話すと声で返す、社長と対話をしているような体験を目指しました。

現状のプロトタイプ(ver 0.9) お披露目

私たちの考える分シン・社長のイメージ、その最初のかたちを、2026年7月13日に行われた社内イノベーション月間イベントの場で披露しました。

 

将来的な活用の風景・展開の1つとして「社員が働く居室に分シン・社長が自らやってきて、雑談する・コミュニケーションする。会話の途中で差し入れとしてお菓子を渡してくれたりなど、仕事に取り組む姿勢を労ってくれる」というシーンを考え、展示に落とし込みました。
 

(※このアイデアはAI社長の活用用途を検討した中の構想の1つであり、現在既にこのようなタイプがある、または今後このタイプの開発を予定しているわけではありません)

実際のイベント展示では、プロジェクト最初のデモ体験として、”据え置き型の社長モニターにマイクで話しかけると分シン・社長が答えてくれる、おすすめのお菓子を紹介してくれる”という機能に絞り、このプロジェクトにおいてベースとなるコミュニケーション体験を提供しました。
(物理的に移動したり、お菓子を配る機能、個人を認識する機能などは未実装)

ブースで体験した人からは、「声、話し方のイントネーション、間が本人にそっくりで驚いた!」「こんな事言いそう!(前言ってた)」など、AIの背後に本物の中村社長を感じたという反応がありました。
また「愛媛のみかん農家出身…って今日知ったけど覚えちゃった。」「ソフトボールやってたんだ…!」など、社長の一面を知るきっかけになったとの声もありました。

中村社長のコメント

「私自身がAIを作ろうと思った理由として、
ひとつは生成AIをはじめとして、今のデジタルの領域がすごく発達してきているという点、まずはそれに触れてみたいという思いが一番最初にありました。

そして社員のみなさんとのコミュニケーションの点です。

当然私自身が直接会ってコミュニケーションを取りたいのですが、現実的には難しい部分もあり、「分シン・社長 ナカムラサン」を、”ちょっとした事を聞けるというような壁打ち相手”としても使ってもらいたいなという想いがありました。

将来的には社員の皆さんのPCやスマホなどからもアクセスできるようになれば嬉しいなと思っています。」

なんしよん、から始まった

「なんしよん」は、愛媛の言葉で「何をしているの」という意味です。会話のきっかけとしても使える言葉で、愛媛出身の中村社長も普段使う言葉になります。私たちの会社では、この言葉が人と人をつなぐ合言葉として使われ始めています。

経営と現場をつなぐ取り組みについては、今回のAI社長の取り組み以前にも、少人数での社長との懇談会「なんしよん会」、社内向け社長ラジオ「なんしよんラジオ」に取り組んできました。
「分シン・社長 ナカムラサン」はこれらの活動の延長線上にあり、これまで届かなかった層に届けることができ、相互に補い合う関係のものと考えています。
これまでの経営と現場の関係性づくりの文脈から新たに生まれた、社内コミュニケーション施策のひとつです。

今後について

今後、仮説検証やフィードバックの試行錯誤を繰り返しながら、取り組みを前に進めていきます。その進捗についても、アップデートがある際にはこのOPEN UP!サイトで共有させていただきたいと考えています。

 

Information

お問い合わせ先

東洋製罐グループホールディングス株式会社 イノベーション推進室
mail: open-up@tskg-hd.com
 
 
本プロジェクトについては、株式会社Konelにパートナー参画いただき主にAIシステム開発などにご協力いただいています。
https://www.konel.co.jp/