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IDEA・21

崩創展 Destruction & Creation

アルミ缶-付加価値-

Outline

概要

アルミ缶は長い年月をかけて徐々に進化しています。薄肉化や強度アップ、加飾性の向上など、気づかない間に大きな変化を遂げています。また、使い終わったアルミ缶は分別回収することで、またアルミ素材へとリサイクルされます。そんなアルミ缶に、アーティストのノア・デレッダ氏は新しい価値を見出しました。指だけで施すアルミ缶アートは、まさに息をのむ美しさを持っています。同時に、アルミ缶の更なる進化に向けたインスピレーションをくれる出会いとなりました。

Challenge

アルミ缶-付加価値-

アルミ缶は軽くてリサイクルもでき、容器としては優等生とも言えます。飲み物や食品に多く利用されているアルミ缶ですが、あまりにも大量につくられるが故に、その価値について考える方は少ないでしょう。軽量化や安全性の確保、より環境によい素材の利用など、様々な技術や革新が詰まったアルミ缶を理解することは資源循環社会を推進する上でも重要なことかもしれません。

Solution

崩創展 Destruction & Creation

東洋製罐グループのダイヤカット缶

東洋製罐グループが製造するダイヤカット缶は、1969年に三浦公亮・東京大学名誉教授が発表した「PCCP(擬似円筒形凹多面体Pseudo-Cylindrical Concave Polyhedral)シェル」を参考に開発され、1996年より生産を開始しました。PCCPシェルは、宇宙工学(超音速機の胴体の破壊モデル)の研究過程で、破壊により変形した形状が非常に安定した構造となっていたという発見を基に考案されたものです。この変形は、「等長変換」と呼ばれ、折り紙のように折っても、素材そのものの伸び縮みがない形状であり、上下方向の強度はほとんど変わらないにも関わらず、横方向の強度が増す安定した構造でした。

この宇宙工学で考え出された「頑丈な形」を応用し、飲料缶の軽量化(材料削減)および強度維持の両立を狙い開発されたのがダイヤカット缶です。この「頑丈な形」を採用することで、スチール製ダイヤカット缶は強度を維持しつつ従来比 約30%の材料削減を実現しました。

また、アルミ製のダイヤカット缶に関しては、開缶時に圧力が抜けることで音とともにダイヤカット形状が現れて消費者にサプライズを与えるほか、光の反射による光沢感があり、製品の冷涼感を効果的にあらわす働きもしています。

ノア・デレッダ氏とCRUSHMETRIC

CRUSHMETRICは2018年、アメリカのアーティストであるノア・デレッダ氏のアートワークから生まれたプロダクトブランドです。元々同氏は、旅行中の退屈しのぎとして親指を使って空き缶を部分的に凹ませ、変形させる遊びを行っていました。様々な変形を試し続ける中で、美しいアートとなり得る缶のクリエイティブ性に魅了され、2004年よりアート表現としての作品制作を開始。同氏は、金属缶を素材として“変形の制限”と向き合いながら、これまで50以上のユニークなデザインを創り出しています。

企画展の実施

東洋製罐グループは、CRUSHMETRIC Group Limitedと共同で、大崎フォレストビルディング1階 容器文化ミュージアムにて特別企画展「アルミ缶アートの世界~Destruction & Creation:崩創LAB~」を2025年3月25日から4月30日の日程で開催いたします。

本企画展では、CRUSHMETRIC Groupから発売されているボールペン「SwitchPen」のモチーフとなる空き缶アートを製作した、ノア・デレッダ氏の未発表作品も含むアルミ缶アートを展示します。さらに、SwitchPenやスツール、タンブラーといった同社製品も併せて展示します。アートを鑑賞しながら、実際の製品を手に取って試すことのできる展示となっています。

東洋製罐グループのオフィシャルノベルティ

今回の出会いのきっかけとなったSwitchPenの形状デザインは、同氏が製作した作品がモチーフになっています。SwitchPenはペン先を出し入れする際に形状がスムーズに変化する(ノックをすることで表面がクラッシュし、ペン先が出る)仕様となっており、当社グループが製造するダイヤカット缶と同じ形状となっています。

企画展開催を記念して、東洋製罐グループはオフィシャルノベルティとして、東洋製罐グループロゴ入り特製BOXに入ったSwitchPenの採用を決定しました。本ノベルティは、今後営業活動等に活用する予定です。

※一般の方向けに販売・配布する予定はございません。

缶を開けることで圧力が抜けてダイヤ形状を浮き上がらせるアルミ製ダイヤカット缶、アルミ缶に親指だけでダイヤ等の形状を作り出すノア・デレッダ氏のアート、そしてボールペンのノック機構を利用し圧力をかけることでダイヤ形状になるSwitchPenと、お互いのアプローチから学び合うことで、今後もサステナブルな容器開発に取り組んでまいります。

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