Ideas
IDEA・23
一流がたどり着いた究極のジビエ
+GIBIER
ジビエ振興-鳥獣被害-
Outline
概要
大きな課題となっている野生鳥獣による農作物被害。特に昨今ではクマによる人的被害なども増加し、対応を迫られています。一方で、捕獲後の利活用については年々増えてはいるものの、未だに約9割が廃棄処分されているのが実態です。特に「安全性」「流通・保管」「手間」といった課題に対し、レトルト技術を応用することでジビエの新しい価値を提供できる社会システムを作り上げることを目標にプロジェクトを開始しました。
Challenge
ジビエ振興-鳥獣被害-
野生鳥獣は菌やウイルス、寄生虫などさまざまな病原体を保有している可能性があるため、衛生面の整った認証施設において正しく処理し、調理の際も適切に加熱する必要があります。故に専門的な知見やスキルが求められるのが現状です。さらに、ジビエは需給管理が難しく、保管には冷凍設備も必要となるため、様々なハードルがあり利活用の妨げとなっています。
Solution
+GIBIERプロジェクト
長野のジビエ三種缶
缶を開けた瞬間、レストランクオリティ。食卓を格上げする深い味わい。
長野の森で育った鹿肉の豊かな風味を、一流のシェフの技で缶詰に閉じ込めました。
高温加圧加熱の力が、鹿肉と食材の素敵なマリアージュを生み出しました。
中世ヨーロッパでは、狩猟権を有する王侯貴族の特権的な高級食材として珍重され、美食家が堪能していたジビエ。
その調理には専門的な知識と高度な技術が求められてきた。そんなジビエを美味しく食べるために、3年間に及ぶ研究の末に辿り着いた答えが“缶詰”にして加圧加熱するという調理方法。この製法で作られた特別な「ジビエ料理」を、大切な方への贈り物に、またご自宅での贅沢なひとときにいかがでしょうか。
東洋製罐グループホールディングスと辻調理師専門学校が進めている+Recipeの第二弾として今回、長野県の豊かな自然が育んだ鹿を厳選し、その魅力を引き出した3種のジビエ缶詰を作りました。
Confit de chevreuil~柑橘香る鹿肉と大豆のコンフィ~
柑橘の爽やかな香りと山椒のスパイス感。大豆の食感が奥行を添え、オイルと鹿肉が引き立て合う贅沢な一缶。
長野県産の鹿肉を米油とともにコンフィに仕立て、「山のお肉」であるジビエに「畑のお肉」である大豆を合わせました。たんぱく質をはじめ栄養にも優れた一品です。
そのままワインのお供としてはもちろん、好みの調味料でアレンジしたり、パスタソースに仕立てたりと、料理の幅を豊かに広げてくれます。
CERVO ALLA CACCIATORA~鹿肉とトマトの猟師風煮込み~
トマトの甘酸っぱさが鹿肉とじゃがいもに溶け込み、一体感のある味わい。とろみが旨みを包み込み、豊かな余韻を残す一缶。
鹿肉を野菜の甘味とトマトの酸味がきいたソースとともに缶詰にすることで、軽くやわらかな食感に。じゃがいもをつけ合わせることで、美味しさとともに、栄養価もさらに高まりました。
そのまま温めて味わうのはもちろん、好みのスパイスで風味を変えたり、スープやグラタンの具材としてアレンジしたりと、さまざまな楽しみ方が広がる一品です。
鹿肉の清酒煮~出汁と鹿肉の風味を活かした肴~
清酒の澄んだ旨みが鹿肉を包み、大根がアクセント。じんわりと広がる和の滋味をご堪能ください。
日本酒を用いて、味わい深い鹿肉の持ち味が活きるように調理しました。鹿肉ならではの風味をしっかり感じていただけるような仕上がりです。
お酒との相性もよく、お好みの薬味を添えていただければ、季節を問わずお楽しみいただけます。
「Confit de chevreuil~柑橘香る鹿肉と大豆のコンフィ~」のアレンジレシピ
〈材料〉 (1人分)
柑橘香る鹿肉と大豆のコンフィ・・・1缶
好みの野菜(根菜類や葉野菜・ハーブ類を数種)・・・100g
ゆで卵(好みの茹で加減)・・・1個
塩、こしょう(好みで)・・・適量
〈作り方〉
➀ 好みの野菜類を準備する。 ※加熱が必要なものは、好みの火通しで加熱する。
➁ ボウルにゆで卵以外の材料を入れ、サックリと混ぜ合わせる。
➂ 器に盛り付け、中心にゆで卵を盛り付ける。
➃ ゆで卵を崩して、野菜と混ぜながら食す 。
(その他のアレンジレシピ)
■お手軽
・炊き込みご飯
・スープの具として
・保存食にプラスして(α化米やパスタ、カップラーメンなど)
■ひと手間
・パスタ
・サンドイッチ
・チャーハン
↓参考動画はコチラ↓
「CERVO ALLA CACCIATORA~鹿肉とトマトの猟師風煮込み~」のアレンジレシピ
〈材料〉 (1人分)
自家製ニョッキ
– じゃがいもフレーク ・・・25g
– 水 ・・・ 60g
– 強力粉・・・20g
– 卵 ・・・8g
鹿肉とトマトの猟師風煮込み・・・1缶
パセリのみじん切り・・・適量
粉チーズ ・・・ 適量
〈作り方〉
➀ じゃがいもフレークと強力粉をボウルに入れ、混ぜ合わせる。
➁ 水と卵をカップに入れ、混ぜ合わせる。
➂ ➀に➁を加え、ゴムベラ を使い全体が均一になるまで練る。
➃ 沸騰したたっぷりの湯に塩(湯の量の1%が適量)を溶かす。
⑤ フライパンに鹿肉とトマトの猟師風煮込みと➂を少量入れ、温める。
⑥ ➂をニョッキの形に成形する。(茹で湯の中に、ハサミで切りながら加えてもよい)
⑦ ➃に⑥を加え、茹でる。
⑧ ニョッキが浮き上がってくれば、湯から引き上げ⑤に加え、よく混ぜる。
⑨ 器に盛り付け、パセリのみじん切りと粉チーズを振る。
(その他のアレンジレシピ)
■お手軽
・炊き込みご飯
・スープの具として
・保存食にプラスして(α化米やパスタ、カップラーメンなど)
■ひと手間
・パスタ
・ピッツァ
・リゾット
↓参考動画はコチラ↓
「鹿肉の清酒煮~出汁と鹿肉の風味を活かした肴~」のアレンジレシピ
〈材料〉2人分
鹿肉の清酒煮・・・1缶
卵・・・3個
卵生地用合わせだし
– 昆布だし・・・5ml
– みりん・・・5ml
‐ 薄口醤油・・・5ml
– 清酒煮の煮汁・・・全量
生姜・・・5g
人参・・・10g
食用菊(黄、紫)・・・各1個
三つ葉・・・2本
彩り野菜あん
– 昆布だし・・・80ml
– みりん・・・5ml
‐ 薄口醤油・・・5ml
– 水溶き片栗粉・・・適量
酢・・・適量
サラダ油・・・適量
〈作り方〉
適量卵生地の準備
① 鹿肉の清酒煮を開け、具材と煮汁を分けておく。
② 分量の卵をよく溶きほぐし、卵生地用の合わせだしを混ぜ合わせる。
彩り野菜あんの準備
① 生姜は1.5㎝長さのせん切りにし、水に落として水気を拭き取る。
② 人参は1.5㎝長さのせん切りにする。
③ 食用菊の花びらを酢少量を加えた熱湯でさっとゆで、水に落として水気を拭き取る。
④ 三つ葉は葉をむしり、茎は1.5㎝長さに切る。水に落として水気を拭き取る。
⑤ 彩り野菜あんを作る。分量のだし汁、調味料を鍋に入れて火にかける。沸いてきたら野菜を加えて火を通す。水溶き片栗粉を加えてあんにする。
仕上げる
① 熱した卵焼き鍋に薄くサラダ油を敷き、卵生地少量を入れて全体に広げる。卵生地が固まり始めたら鹿肉の清酒煮の具材を置き、卵生地が流れないくらい火が通ったら包むように巻く。
② 卵生地を一回目と同じように流し入れる。最初に巻いた卵を箸で持ち上げるようにして、その下にも卵生地を流し入れる。同じ要領で焼き上げる。
③ 鹿香巻き玉子を適当な大きさに切り、器に盛り付け、 温めた彩り野菜あんをかける。
(その他のアレンジレシピ)
■お手軽
・お好みの薬味で一層美味しく
・お吸い物の具材として
■ひと手間
・汁ごと混ぜて玉子焼き
・春巻きの具材として
↓参考動画はコチラ↓
辻調理師専門学校 東京 西洋料理教員 秋元真一郎
ジビエの本場フランスでは、鹿肉や猪肉が市場やスーパーマーケットの食肉売り場でごく普通に並び、日常的な食材として親しまれています。一方で日本では、鳥獣被害の観点から “問題”として語られがちですが、鹿もまた森の恵みを受けて生きる存在。今回の三種の缶詰では、鹿が好んで食べる食材を一緒に煮込んでいます。フレンチでは柑橘、イタリアンではじゃがいも、和風では大根や米からできている清酒を使い、鹿肉との相性が良い食材たちによりそれぞれ味わい深い缶詰に仕上げました。
辻調理師専門学校 東京 日本料理教員 野中覚
日本では古くから鹿肉を「もみじ」と呼び、時代による違いはあれ、薬食い(滋養食)として受け継がれてきました。和食は本来、素材の持ち味を活かすことを大切にするため、ジビエにおいても、私は比較的シンプルな調理を心がけています。ジビエは個体差が大きく、同じ料理でもその都度微妙な調整が必要ですが、今回は缶詰に仕立てたことで仕上がりの状態が安定し、最良の味をそのまま閉じ込めることができました。素材の力を信じて丁寧に向き合う──その思いを、この一缶に込めました。
日本ジビエ振興協会代表理事 兼 「オーベルジュ・エスポワール」オーナーシェフ 藤木徳彦
私は長野県でフランス料理店を営んでいますが、冬のメイン料理を考えていました。鉄砲での狩猟解禁は11~2月。ジビエの肉は一頭一頭、食べてきた木の実や植物によって風味が変わり、まさに一期一会の味。同じ肉に出会えないという魅力がありました。どんぐりを多く食べていると甘みを感じたり、その物語がまた肉を美味しくさせます。
本プロジェクトでは、長野で育った鹿を地元の猟師が捕獲し、国産ジビエ認証を取得した信州富士見高原ファーム(長野県諏訪郡)で適切に解体しています。その後、日本ジビエ振興協会(長野県茅野市)や辻調理師専門学校と連携し、命を美味しくいただく缶詰に仕上げました。
諏訪大社(長野県諏訪郡)にも奉納を行っており、鹿肉だけでなく、長野の歴史や文化といった豊かな恵みをひと缶にこめています。
「鹿食免」とは、獣肉を食べることが禁止されていた時代に、諏訪大社が発行していたお札です。生きるために狩猟を続けざるを得なかった人々にとって、鹿食免は「獣肉を食べても穢れや障りには当たらない」とということを示す、いわば、免罪符のような役割を果たしました。