Ideas

IDEA・18

プラスチックに向き合う
超分別ごみ箱2023

資源循環-プラスチック-

Outline

概要

ごみは人間だけが出すものである。自然界の中ではごみは存在せず、物質は生命とともに循環している。今、ごみの定義が変わろうとしている。未来へ向けて、ごみの出ない社会が求められている。すべてのごみを再利用可能にしなければならない。
そのためには、まずごみの分別が不可欠であり、中でもプラスチックの分別が急務である。プラスチックは、20世紀が生んだ夢の素材であったが、21世紀に入って悪夢に転落した。これからは、製造・販売者、消費者といった壁をなくして、ごみに対する意識を変えて行かなくてはならないだろう。(メディアアーティスト 藤幡正樹)

Challenge

資源循環-プラスチック-

枯渇資源や海洋プラ、CO2など様々な課題を伴うプラスチック。様々な内容物に対応できる、形を柔軟に変えることができる、中身が見えて安心といった利点はあるものの、分別やリサイクルの推進が急務となっている。一方で、プラスチックには様々な種類があり、見分けることが難しい。プラスチックから目を背けるのではなく、しっかりと向き合い、理解することで、これから必要な「つくり方、つかい方」が見えてくるのかもしれない。

Solution

アート × プラスチック

超分別ごみ箱2023

2023年9月23日(土)から11月5日(日)まで、東京を地場に発する国際芸術祭の東京ビエンナーレ2023にて、「超分別ごみ箱2023プロジェクト」の展示が行われました。

メディアアーティストの藤幡正樹さんを中心に推進されたプロジェクトで、「日常的なゴミの分別を極端に推し進めると、それはある種のアーカイブになり、情報になる」という考え方が起点となっています。コンビニ型の超分別ごみ箱や、ワークショップ、聴覚、嗅覚、視覚、空間意識を持ったアーティストの参加を通して、新しいプラスチックへの理解の方法を探るプロジェクトとなりました。

 

藤幡正樹さんプロフィール(HP:http://www.fujihata.jp/

アーティスト。80年代からメディア・アートの先駆者として活動。1996年には、日本人として初めてアルス・エレクトロニカ・ゴールデン・ニカ賞を受賞するなど、受賞多数。1989年より、慶應義塾大学にて、1998年からは東京藝術大学で教鞭をとり、2005年同大学大学院映像研究科の設立に貢献。2022年に柳井イニシアティブと全米日系博物館(JANM)との共催にて、日系人の強制収容をテーマとした「BeHere / 1942」展を実現。

4人のアーティストによる作品

展示では、4人のアーティストがそれぞれの視点でプラスチックに関する作品を展示しました。

 

写真家のブルース・オズボーンさん(HP:http://bruceosborn.com
工場から出るプラスチックの塊をモチーフとした写真を撮影

 

音楽家の生形三郎さん(HP:https://saburo-ubukata.com/
プラスチックの音を音源とした作品をプラスチックのレコード盤に封印

 

嗅覚芸術家の上田麻希さん(HP:http://www.ueda.nl
海洋プラスチックが吸着するプランクトンの匂いを展示

 

現代美術作家の安西剛さん(HP:https://an2ai.net/
路上に放置されたプラスチック包装を彫刻的なサイズに拡大することで、知覚を揺さぶる

ラブ=プラスチックワークショップ

2023年8月19日(土)20日(日)の2日間、東京工芸高校にてワークショップを実施しました。

およそ40家族が6週間にわたって集めたプラスチックごみを、参加者全員で10種類に分別。

①PE(ポリエチレン)
②PP(ポリプロピレン)
③PS(ポリスチレン)
④PVC(塩化ビニル)
⑤PET(ポリエチレンテレフタレート)
⑥PMMA(アクリル)
⑦PC(ポリカーボネート)
⑧ABS(合成樹脂)
⑨複合素材
⑩その他

容器包装の表示を見たり、パリパリ、ペタペタ、ペコンペコンといった音や硬さで判断したり、光学センサーを使ったり、さまざまな方法で分別を行いました。

アーティストや企業、学生、地域の方など、さまざまな方が参加し、新しい驚きや発見に富んだワークショップとなりました。

アーカイブとしてのプラスチックごみ

ワークショップで集まったプラスチックごみは、1家庭1日分のごみを1枚の写真にしてアーカイブされます。いま、この時代にどういった製品が家庭で使われていて、ごみとなって出てくるか。捨てて燃やす、リサイクルするといった通常のごみからは読み取ることのできない、人々の生活や時代背景などが読み取ることのできる大切なアーカイブとなりました。

プラスチックを不要なもの、嫌なものと目を背けるのではなく、理解して向き合うことで、これから私たちがどのようにプラスチックを扱っていくべきかを教えてくれる、貴重な体験となりました。

東洋製罐グループは、超分別ごみ箱2023プロジェクトの協賛を通じ学んだことを活かし、今後も世の中に必要とされる包装容器、製品・サービスづくりを行っていきます。

 

超分別ごみ箱2023プロジェクト

https://tokyobiennale.jp/tb2023/linkage/super-sorted-garbage-bins-2023/?lang=ja

協力:東京都立工芸高等学校、株式会社テクノラボ、青山学院大学苅宿研究室、株式会社リコー、株式会社エトワール海渡、メビウスパッケージング株式会社

パートナー企業(協賛):アサヒグループホールディングス株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、東洋製罐グループホールディングス株式会社、大日本印刷株式会社、凸版印刷株式会社、株式会社ファミリーマート、株式会社ローソン